過去一番金欠だったとき、銀行の貯金残高は2000円を切っていました。幸いなことに私は実家暮らしだったので、飢えて死んでしまうことはありませんでしたが、サークルの会費を支払うことで毎日が精いっぱいでした。そこで、考えるのがアルバイトのことです。当時アルバイトしていた飲食店には他のバイト学生が増えてしまい、なかなかシフトに入れませんでした。
そうして思いついたのが日雇いバイトです。私は、日雇いサイトに登録し、一番時給が高かった工場での単純作業バイトを経験しました。そこでは、明らかにお局とみられる主婦や、機械のごとく作業にはげむフリーターの人がたくさんいました。昼休憩のときに普段関わらないような人と話をするのはとても楽しかったです。中には、仕事をクビになって崖っぷちだという力強いシングルマザーや、ゆくゆくは世界一周をしたいという夢をもっているフリーターの方もいました。前者はともかく、後者は日雇いをせずに安定したアルバイトをするべきだと思いましたが、絶対に口にはできませんでした。
工場の作業自体は、至極簡単なものでした。文字通り誰にでもできる仕事でした。レーンを流れてくる箱にひたすらクッキーを詰めるだけの作業に、途中気が参ることがありました。しかし、横にいるシングルマザーはそれでも懸命に作業を続けていました。その姿を見て、やはり母は強いなあと感心していると勤務時間が終了していました。この一日で1万2000円とシングルマザーの友達を得ることができました。
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